新型コロナウイルスの感染拡大に対し、どのような手を打つべきなのか。政府は経済活動に水を差すとして、「Go To」キャンペーンの見直しに及び腰だったが、政府の分科会は20日、人の流れを検討する「ステージ3」に入りつつある都道府県があるとの見解に踏み込んだ。医療関係者らの危機感を背景に、政府に決断を迫った形だ。
「非常に厳しい、大きな転換点にある」。分科会メンバーの釜萢敏(かまやちさとし)・日本医師会常任理事は会合後、危機感をあらわにした。「このままの状態を維持することでは感染拡大を抑えられないどころか、医療の提供が継続できなくなるという大きな節目に来ているという認識で一致した」という。
2番目に深刻な「ステージ3」に入りつつあるという指摘に分科会が踏み込んだのは、医療崩壊の恐れが高まっていると判断したからだ。ステージは各都道府県が独自に定めている場合もあるが、分科会は病床使用率や人口10万人あたりの療養者数など6指標を中心に、医療への負荷のかかり具合を測り、国や都道府県に目安にしてもらうことにしている。
ステージ3は、飲食店の人数制限や観光施設の入場制限などを検討する段階とされる。分科会は政府が経済活動を後押ししてきた「Go To トラベル」について、「政府の英断を心からお願い申し上げる」との表現で感染拡大地域での見直しを求めた。トラベルが感染拡大の主要な要因との証明はないが、早期に感染状況を落ち着かせることは経済的な打撃を軽減するとしている。また「Go To イート」では、感染状況によって利用を控えるように都道府県知事が呼びかけるべきだとした。
ほかにも感染状況によって、飲食店の営業時間の短縮や移動に関する自粛要請をするべきだと提言。テレワークの一層の推進や年末年始の休暇分散なども訴えた。
分科会は、医療と経済を両立することを目的としており、双方の専門家ら18人で構成。政府は分科会の提言を参考に政策を決める。これまで経済に配慮した発信を続けてきた分科会が、経済のブレーキにつながる提言に踏み込んだ背景には、新規感染者の急増がある。
臨時構成員の太田圭洋・日本医療法人協会副会長は「医療系、経済系のどちらの構成員も危機感は共有している」とし、「今の感染状況ではどちらかと言えば経済にブレーキを踏む内容の提言をせざるを得ないということだ」と話した。
厚生労働省の集計などによると…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル